「かえだま」が走った日 [昔鉄(60年代の国鉄・私鉄)]
昭和39年(1964年)4月24日。秋には東海道新幹線の開業、そして東京オリンピックを控えたこの日、東海道線草薙-静岡間で下り特急「第一富士」が踏切を横断中のダンプカーと衝突するという事故が起きました。この事故で「第一富士」の先頭車クロ151-7は脱線大破、2,3両目に組み込まれたモロ151-12,モロ150-12も脱線し、前途運行不可能な事態が発生しました。
「第一富士」は東京発、宇野線宇野へ直通する唯一の特急、大鉄局では大阪-宇野間に、急遽高槻区の80系電車の代走「富士」と折り返しの「うずしお」(宇野-大阪間)を走らせた(旧国電の史上唯一の特急運用として有名らしい)ものの、問題は翌日からの東海道線特急の運用。
東海道新幹線の開業に伴い、151系は関西-九州地区向けに転用することが決定済み。既に準備工事が始まっていて、ただでさえ予備車の少なかった151系はたちどころに車両不足に陥りました。
そこで、翌4月25日から、ゴールデンウィークの期間中(5月6日まで)、上りの第一こだま、下りの第二こだまを、宮原区の153系11両編成(「なにわ」「せっつ」などの急行列車に用いられていたのと同じ)で代走させることになったのです。
事故翌日の4月25日、多くのファン、あるいは野次馬が待ち構える中、お調子者の私もその中に混じって、東京駅で上り「第一こだま」2Mの到着を待っていました。
やがて、赤鬼のようなご面相のクハ153-500番代を先頭にした2Mが、大阪からの500キロ余りを走破し、東京駅に進入してきました。
上り「第一こだま」の東京駅到着は13時30分。気になって万年カレンダーを当たってみたら、この日は土曜日でした。中学2年生の私は、午前中の授業を終えて東京駅へ直行したらしい。「こだま」ならぬ「かえだま」が走る…ネットも無い時代、どうやって一介の中坊がその情報を得ることが出来たのか不思議ですが…ともかく、中学の鉄仲間数人で東京駅まで出かけたことは確かなようです。
上り「第一こだま」は東京駅(当時)の特急専用ホームのようになっていた15番線に到着。ホーム据付のまま、折り返し下り「第二こだま」(5M)となる運用です。
15番ホームは土曜日ということもあってか、「かえだま」目当てのファンが大勢。当時はどこへ行っても、あんまりファンを見かけることはなかったのですが、この日は格別です。15番ホームの向かい側では、新幹線工事がまさにたけなわ。
実は153系による「こだま」代走は、この時が初めてではないそうで、その証拠に153系専用の「こだま」ヘッドマークが準備されていました。けっこう年季が入っている汚れ具合ですね。アクリル製ではなく鉄板製ですが、151系のイメージそのままの5角形。急行用の愛称板とはひと味違います。愛称板は用意してあるけれど、しかし153系クハに「特急」の表示幕はさすがに用意はなかった…。
神田寄りに行ってみました。車内清掃が終わり、5Mの乗客の案内が始まっています。腐っても鯛、153系でも特急。特急に乗る人たちというのは、自分とは違う人種、そう思っていた頃です。ボーイング747ジャンボが就航して、飛行機が一気に庶民でも手が届く用になったように、庶民でも特急に乗れるようになったのは、やはり新幹線が出来てから以降のことだと思います。
機回し線だった16番線にEF58が入ってきて153系との並びが実現。
2両だけの1等車の周囲は、さらにセレブな空気が漂う。よく見るとサロは分散型クーラーを載っけてますが、二等車はクーラー未設置。連休中は暑くなかったんでしょうか?
有楽町寄りに戻ると、貫通ドア上部の列車番号表示は5Mに差し替わって…{M]がないですね…。
ちょうど1時間の東京滞在。定時の14時30分、下り「第二こだま」は大阪目指して東京駅を後にしていきました。
なんだかみんな、思い切り線路の上で写真撮ってますね(オマエモナー)。
153系による代走は、ゴールデンウイーク明けまで続き、その後は「ひびき」から157系増結用車両を徴発、さらに6月からは「とき」のクハ161を、大破したクロと差し替えて運用、そして7月からはサロ150-3に運転台を増設した新形式クロ150を投入し、クハ161と置き換える、というめまぐるしい運用変更で、東海道新幹線開業までの3ヶ月間を乗り切った、ということです。
当時の事実関係を調べていたら、153系代走「こだま」の鉄道模型と言うのが発売されているらしい。模型のことはまったくわかりませんが、そんな特殊なアイテムを作って商売になるんかいな、とつまらない心配をしてしまいました。
「第一富士」は東京発、宇野線宇野へ直通する唯一の特急、大鉄局では大阪-宇野間に、急遽高槻区の80系電車の代走「富士」と折り返しの「うずしお」(宇野-大阪間)を走らせた(旧国電の史上唯一の特急運用として有名らしい)ものの、問題は翌日からの東海道線特急の運用。
東海道新幹線の開業に伴い、151系は関西-九州地区向けに転用することが決定済み。既に準備工事が始まっていて、ただでさえ予備車の少なかった151系はたちどころに車両不足に陥りました。
そこで、翌4月25日から、ゴールデンウィークの期間中(5月6日まで)、上りの第一こだま、下りの第二こだまを、宮原区の153系11両編成(「なにわ」「せっつ」などの急行列車に用いられていたのと同じ)で代走させることになったのです。
事故翌日の4月25日、多くのファン、あるいは野次馬が待ち構える中、お調子者の私もその中に混じって、東京駅で上り「第一こだま」2Mの到着を待っていました。
やがて、赤鬼のようなご面相のクハ153-500番代を先頭にした2Mが、大阪からの500キロ余りを走破し、東京駅に進入してきました。
上り「第一こだま」の東京駅到着は13時30分。気になって万年カレンダーを当たってみたら、この日は土曜日でした。中学2年生の私は、午前中の授業を終えて東京駅へ直行したらしい。「こだま」ならぬ「かえだま」が走る…ネットも無い時代、どうやって一介の中坊がその情報を得ることが出来たのか不思議ですが…ともかく、中学の鉄仲間数人で東京駅まで出かけたことは確かなようです。
上り「第一こだま」は東京駅(当時)の特急専用ホームのようになっていた15番線に到着。ホーム据付のまま、折り返し下り「第二こだま」(5M)となる運用です。
15番ホームは土曜日ということもあってか、「かえだま」目当てのファンが大勢。当時はどこへ行っても、あんまりファンを見かけることはなかったのですが、この日は格別です。15番ホームの向かい側では、新幹線工事がまさにたけなわ。
実は153系による「こだま」代走は、この時が初めてではないそうで、その証拠に153系専用の「こだま」ヘッドマークが準備されていました。けっこう年季が入っている汚れ具合ですね。アクリル製ではなく鉄板製ですが、151系のイメージそのままの5角形。急行用の愛称板とはひと味違います。愛称板は用意してあるけれど、しかし153系クハに「特急」の表示幕はさすがに用意はなかった…。
神田寄りに行ってみました。車内清掃が終わり、5Mの乗客の案内が始まっています。腐っても鯛、153系でも特急。特急に乗る人たちというのは、自分とは違う人種、そう思っていた頃です。ボーイング747ジャンボが就航して、飛行機が一気に庶民でも手が届く用になったように、庶民でも特急に乗れるようになったのは、やはり新幹線が出来てから以降のことだと思います。
機回し線だった16番線にEF58が入ってきて153系との並びが実現。
2両だけの1等車の周囲は、さらにセレブな空気が漂う。よく見るとサロは分散型クーラーを載っけてますが、二等車はクーラー未設置。連休中は暑くなかったんでしょうか?
有楽町寄りに戻ると、貫通ドア上部の列車番号表示は5Mに差し替わって…{M]がないですね…。
ちょうど1時間の東京滞在。定時の14時30分、下り「第二こだま」は大阪目指して東京駅を後にしていきました。
なんだかみんな、思い切り線路の上で写真撮ってますね(オマエモナー)。
153系による代走は、ゴールデンウイーク明けまで続き、その後は「ひびき」から157系増結用車両を徴発、さらに6月からは「とき」のクハ161を、大破したクロと差し替えて運用、そして7月からはサロ150-3に運転台を増設した新形式クロ150を投入し、クハ161と置き換える、というめまぐるしい運用変更で、東海道新幹線開業までの3ヶ月間を乗り切った、ということです。
当時の事実関係を調べていたら、153系代走「こだま」の鉄道模型と言うのが発売されているらしい。模型のことはまったくわかりませんが、そんな特殊なアイテムを作って商売になるんかいな、とつまらない心配をしてしまいました。
こりゃまた、お宝画像ですね!
遜色列車の最たるもの。
特急料金は、食事のサービスは?色々気になってきました。
by Cedar (2011-04-23 01:05)
新幹線開通直前の珍事ですね。
話には聞いたことがありますが、こうしてリアルな写真を拝見して、
感慨ひとしおです。
所要時間は、151系並みに走れたのでしょうか。
by manamana (2011-04-23 06:17)
Cedarさん
サロはともかく、2等は普通のボックスシートですからね。大阪までの6時間半はキツかっただろうと思います。供食サービスは例の「寿司ビュッフェ」つきサハシを2両組み込みですが、寿司屋はこのころまであったんでしょうか?
manamana
151系の正規の編成が6M6Tの12両。代走の153系は6M5Tの11両で、問題なく走れたと思います。撮影した日も上りは定刻着だったような…。
銀狼さん
FTドルフィンさん
niceありがとうございます。
by maipenrai (2011-04-23 13:27)
sonicさん
む~さん
素人写真さん
niceありがとうございます。
by maipenrai (2011-04-24 06:42)
話題が少しそれて恐縮ですが、昭和37年ごろの時刻表を現在のフォントと判型で復刻すると面白いのではないかと思います。東海道線をさまざまな列車があたかも現在行きかっているような感覚になって楽しそうです。
by 作草部鎮守の森 (2015-12-29 17:40)