ひと山越えれば小湊線~国鉄色DC欲張り撮影行 [ちょっとおでかけ鉄]

 はじめての久留里線撮影行は、3両しかないキハ30のうち2両が運用に就いている、という幸運に恵まれて充実したものになりました。
 だがしか~し…、朝の4時起きでクルマを走らせたせいでやや睡眠不足に加え、9時を回った頃にはおそらく30度超えしていたと思える、真夏と変わらぬピーカンの天気の下の野外活動、お昼近くには早くもヘバリ気味なんであります。
 遠目にもテッペンの心許なさが目立つ私の脳天を、容赦なくジリジリと焼く太陽。
01テッペンが.JPG


 お目当てのキハ30も、この列車が久留里で折り返し、木更津に戻ると夕方まで入庫してしまう模様です。
02ki30100.JPG


 さて、午後はどうしようか。


 水の豊かな土地に美味い蕎麦あり…というわけで、久留里駅近くの蕎麦屋に入り、昼メシ&作戦会議。
03そばに味噌汁.JPG


 アレ、蕎麦を頼んだのに味噌汁がついている…と思ったら、写真には写っていないけど、ランチサービスで小ぶりのおにぎりが2コついてきたのだった。

 久留里の街なかを走っていて、目に入ったのは「月崎6キロ」の道路標識。月崎とは五井と上総中野を結ぶ小湊鐵道の駅です。そんなに近いんだ。
04地図.jpg


 ならば月崎に出て小湊鐵道キハ200に敬意を表し、ついでにも一つ山越えして、いすみ鉄道のキハ52にも会いに行く…ってのはどう? ダボハゼ癖丸出しで口にすると…、
「そこまで欲張らなくっても…」Y君にたしなめられちゃいました。

 とりあえず、月崎に向かってみましょう。なにしろ予定していなかった行動なので、小湊線の時刻表もない、私のクルマにはカーナビもついてない(関係ないけどパワステパワーウインドゥもない)、爺鉄二人はスマホも持ってない。唯一の頼りの車載の道路地図は、「千葉県都市部地図」で、このあたりは地図の範囲から外れてます。行き当たりばったりもいいとこだけど、まぁそこらは「野生のカン」で補うということで…。

 山越えの道を10分あまり走って月崎駅に。久留里は小櫃川沿いの君津市ですが、ここはもう養老川沿いの市原市。因みに小湊鐵道は、そのほぼ全線が市原市内を走りますが、いすみ鉄道と接続する終点の上総中野は大多喜町に属します。
05月崎駅の桜.JPG


 久留里と月崎の間に路線バスがあれば、徒歩鉄でも久留里線と小湊線を回遊できる。ついでにやはり直線距離10キロほどの、上総中野と久留里線の上総亀山にもバス路線があれば、国鉄色ディーゼルカーが走る3路線を結ぶ黄金回廊が出来上がる…なんて夢想が頭をよぎります。現実には行政区域は入り組んでいて、JR久留里線とは相互に接続するバス便もない。
 そんな千葉県ローカル三線めぐりなんてニッチもいいところの鉄ちゃんのために、バスなんか走らせられるか! と叱られそうですね。現実にはそんなことをしたい人は、クルマを使うだろうし…。でももし自分がいま中学生や高校生だったら…そんな旅もしてみたい…。

 月崎駅の構内は、案外と広く、対向式ホームに貨物用の側線まで…残ってはいるんですが、現実に使われているのは左側の駅舎に面した一線だけ。
07月崎駅構内.JPG


 小湊鐵道は全線39.1キロのうち、途中の上総牛久から先、上総中野までの23キロ弱が一閉塞で、一個列車しか入線できないため、この区間の列車本数は極端に少ないのです。昼間は1時間半~2時間に一本程度の間隔。市境を越えて上総中野に行く列車は平日一日わずか4往復しかありません。

 駅の時刻表を見ると、運良く15分ほどで上り列車がやってくる。駅からすぐの上総大久保側にある警報機もない踏切まで歩いて行くと、旺盛に繁茂した木々のトンネルの向こうから、単行の気動車がゆっくりとやってきました。
08樹木のトンネル.JPG


 月崎駅に停車した列車の乗降客はゼロ。見送るのは私とY君、そしてもう一人年配の同業者の方の3人。
09乗降ゼロ.JPG


 次にやってくる下りの列車は1時間20分後。
「隣の大久保駅の近くに、クルマじゃないと行けない俯瞰ポイントがあるらしいんですが…」とY君。写真で見たことがあるだけのようで、ナビも地図もなくてはその場所にたどり着けるかどうか…ですが、これだけ時間があれば、多少迷ってもなんとかなるでしょう。
 上総大久保駅方向にクルマを走らせていくと、行く手に踏切があり、その先線路はカーブを描いて築堤の上を走ります。おそらく有名な撮影ポイントなんでしょうね。光線状態もなかなかナイスで、俯瞰ポイントが見つからなければ、ここに戻ってくればいい、ということで山道にアタック開始。ところが、これがなかなか見つからない。散々クルマを走らせ、一台がやっと通れるような細い道まで、行きつ戻りつ…養老渓谷駅近くまで探したものの、ついにそれらしいポイントは見つからず、結局上総大久保駅に戻って来ました。
10上総大久保駅.JPG


 桜の季節は素敵だろうなぁ。一面棒線の駅の壁に描かれたトトロの絵は、いましがた迷い込んだ駅近くの丘の上にあった小学校の生徒の作品かしら。

 俯瞰ポイント探索に時間を費やしたせいで、間もなく下り列車が来る時刻。
 駅から月崎方向に向かうと、すぐに周囲を山に囲まれた畑が広がっていて、その中を線路の築堤がカーブを描きながら横切っています。築堤の法面は雑草を焼き払ったばかりなのか、赤黒く変色していますが、これなら列車の足下をまですっきりと写すことができそうです。

 やがて県道の踏切警報機が鳴り出して、月崎方向から列車が姿を現しました。先ほどの上りは単行だったけど、今度はキハ200形の2両編成。
11カーブから姿を.JPG


 築堤に踊り出る。国鉄色…いや、国鉄から一時この色が消えた時もずっとこの色だったんだから、もはや小湊色というべきか…が背景の山の緑に映える。
12築堤Ki212.JPG


 見通しのよい築堤なので、ズームレンズの焦点距離を変えながら、何枚もシャッターを切ります。
13真横からも.JPG


 やがて築堤も終わり、上総大久保駅に進入する列車。いつの間にか駅のホームには下校する小学生の姿が…。この列車は次の養老渓谷行きですが、この先、市原市域にはもう小学校はないんだろうな。
14大久保駅に進入.JPG
 

 小学生たちを養老渓谷駅まで送り届けたキハの2連は、ほどなく上り列車となって戻ってきます。
 築堤カーブの月崎側、県道の踏切の辺りで列車を待ち構える。県道はけっこうひっきりなしにクルマが走っていて、他県ナンバーも多く、大多喜や勝浦方面からアクアラインに向かう抜け道になっているようです。
 やがて目の前のレールが遠くのジョイント音を伝えだすと、築堤の向こうにキハ200の2連が踊り出る。
15上り列車.JPG


 ゆっくりと加速していくディーゼルの音が次第に高まり、朱色とクリームの塗り分けに陽の光をいっぱいに受けたDCが目の前を通過していきました。
16上り列車アップ.JPG


 ディーゼルがカーブの向こうに姿を消し、山あいに静けさが戻ります。時計をみると午後4時を回り、太陽も山陰に沈みかけています。今日はこのくらいで、引き上げることにしましょうか。

 ところが…。
 小湊線に沿った県道を、市原のインターに向け車を走らせていた帰途、里見だか、高滝の駅だかで停車中のキハ200の2連を発見。あれ、追いついちゃったよ。
 こうなると、俄然欲が湧いてきて、「どっかでもうワンカット撮れないかな?」

 県道ともつれ合うように、右に左に位置を変える線路の方向をチラチラ眺めながら、結局上総牛久の町を出外れたあたりまで走って、あてずっぽに順光側にクルマを停め、大慌てでカメラを構え、本日ラストカット?
17上総牛久.JPG


 いや、その先もチラチラ遠くに気動車の姿が見え隠れ。でも平野部に出たディーゼルの足は思いの外早く、気はせくものの、結局海士有木駅の先の踏切につかまり、しかし交通量が多くてクルマの外に出るのもままならず、窓からシャッターを切ったのが、ラストカットとなりました。
18海士有木.JPG


 暮れなずむ家路を走らせながら、ふと気づけば、一日散々楽しませてもらったのに、久留里線にも小湊線にも、ほとんど売上に貢献することはなかった。ちくっと胸が痛み、そうだ、今度は徒歩鉄で来よう…そう思いながら「乗ったら撮れない」徒歩鉄の宿命が悩ましい。
 Yくんからは、さっそく「クルマでしか行けない」俯瞰ポイントをばっちり調べたからまた行きましょう…ってお誘いも来ているのであります。
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maipenrai

tochiさん
あるまーきさん
あんぱんちーさん
モボさん
Cedarさん
 niceありがとうございます。
by maipenrai (2012-09-17 20:50) 

maipenrai

ディブ松本さん
yakitorimitbierさん
nexus6さん
プントさん
 niceありがとうございます。
by maipenrai (2012-09-18 06:10) 

hanamura

行き止まりローカル線の良さに目覚めた最近です。
自称:◎み鉄は当分の間、宇都宮中心に行動予定
by hanamura (2012-09-18 07:35) 

KEY坊

こんにちは~♬
どこか懐かしく、草深いローカル線の雰囲気が醸し出されてる画像ですね。
私も家族で勝浦へ海水浴へ行く大多喜街道でキハ200を見る度、稲穂そよぐ蝉が鳴く風景と香りを恋しく眺めてます。
もっとも、外房線 (房総東線) は大多喜を抜け千葉へ向う予定だったそうですね … 大多喜や内陸部では汽車が来れば、疫病が来たりニワトリが卵を産まなくなるとか火事になるとかの大反対で取り残されたとかでその後を見てる分けるですが ... 。
小湊キハ200は設計時に京成の車両部がディーゼルカーに関わったとというのは面白い逸話だと思います。
by KEY坊 (2012-09-18 10:38) 

maipenrai

hanamuraさん
 味わいのあった競馬場もなくなってしまい、宇都宮といえばギョウザだけ?(失礼) なんて思っていた私…御ブログを楽しませていただいてます。烏山線も行ってみたいなぁ…。

シュウチャンさん
 niceありがとうございます。しかし…久留里線の大ベテラン、シュウチャンさんや、小湊鐵道のyakitorimitbierさんにniceをいただくと、冷や汗が…。
by maipenrai (2012-09-18 10:41) 

maipenrai

KEY坊さん
 コメントありがとうございます。小湊鐵道は大多喜街道と並行する上総牛久までは、通勤通学の利用が旺盛ですが、その先、山に分け入ると、ご覧のようなのどかな風景が続いています。木原線がその名の通り木更津と大原を結び、小湊鐵道が安房小湊に伸びていたら、上総中野がジャンクションになっていたのかなぁ…なんて考えながら地図を眺めると楽しいですね。
 小湊キハ200を旧国鉄色と書いてしまいましたが、じつはあれは京成赤電色なのではないか? と密かに思っています。
by maipenrai (2012-09-18 16:51) 

maipenrai

きゅんぱちさん
あおたけさん
 niceありがとうございます。
by maipenrai (2012-09-19 20:56) 

maipenrai

suzuran6さん
燕っ子さん
 niceありがとうございます。
by maipenrai (2012-09-21 21:43) 

maipenrai

ブラックホッピーさん
 はじめまして。素敵なHNですね~。niceありがとうございます。
by maipenrai (2012-09-22 22:49) 

maipenrai

フジトモさん
素人写真さん
ドラもんさん
 niceありがとうございます。
by maipenrai (2012-09-24 17:57) 

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