久留里線欲張り撮影行 [ちょっとおでかけ鉄]

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 すでに皆様ご案内のとおり、千葉県下木更津から上総亀山を結ぶ久留里線にこの秋から新型気動車が投入されることになり、国鉄時代から活躍を続けてきた3両のキハ30をはじめ、私の目には十分にモダンな新車に映る昭和&国鉄末期に製造されたキハ37、38の一統が姿を消すことになっています。
 久留里線は千葉県にありながら、東葛飾地区に住む私(千葉都民、というヤツです)からするとビミョーな位置にあり、齢60を越えた今の今まで、乗ったことも撮影をしたことすらありません。私がそれなりに千葉の鉄道を追っかけていた40年前にはとっくに無煙化を完了し、貨物列車もDD13が牽いていたそうです。房総ならどこでも見られたキハ16/17の時代から、キハ35系一色になって…と、まぁわざわざ見に行く、乗りに行く事もないまま現在に至る…と。
 本ブログを立ち上げ鉄道趣味に舞い戻って一年半、生来のものぐさと、腰の重さでもたもたしているうちに113系電車は姿を消してしまい、いままた久留里線からも昭和の車両がなくなろうとしているわけで、やはり千葉県民鉄としては、昭和のキハの姿を見ておきたい。
 某鉄道趣味誌の7月号「久留里線特集」で予習には励んでいたのですが、さっぱり頭に入らないまま。そうこうするうちにもはや9月も中旬、猶予の時間はあんまりありません。
 そこに強力な援軍到来。拙ブログにも何回か登場してもらっている若き鉄友(といっても50代)Y君。実は彼は生まが久留里で、今は東京暮らしですが生家もまだ久留里に残っている。本人曰く「まだ誰も撮影しない頃から久留里線を撮っている」そうで、強力型試作気動車キハ60の一統が、晩年久留里線を走っていた頃を知っているというから凄い。彼がついてくれるなら撮影地もお任せでオッケーだね。
 もっとも後で判明したことだけど、生家にはたびたび行ってるけど、沿線で撮影するのはン十年ぶりだそうで…。それで多少情報が古かったりするのだけれど、まっ、いいか。

 久留里線を撮るなら、やはり一本だけの4連や、2連の基本にキハ30が確実に増結される朝の時間帯を狙いたい…、ならば現地には6時に着いていたい、ということで、Y君には拙宅に前泊してもらい、朝の4時半出発。まだ昏き京葉道路~館山道を一路クルマを走らせ一般道に降りると、久留里の街を抜け、Y君の生家にほど近い久留里-平山間の線路際に立ったのはちょうど6時。周りを囲む房総特有の穏やかな山並みから、ちょうど朝日が射しこんできます。
 ほどなく遠くの踏切の警報機が鳴り出すと、顔を見せたの上総亀山を5時59分に発った922D。久留里線の朝の2番列車です。国鉄色のキハ3098を先頭に、キハ38を2両つないだ3両編成。
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 久留里線の朝の上り1番列車の920Dは、前夜から上総亀山に滞泊した車両で運転されますが、2番列車の922Dと3番列車の924Dは、前夜は久留里に滞泊。それぞれ上総亀山に回送して同駅始発の上り列車となります。久留里-上総亀山間は一閉塞なので、922Dが久留里に到着すると、入れ替わりに924Dに充当される編成が、上総亀山に回送で向かいます。
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(回924D 先頭はキハ383 久留里-平山)

 深山幽谷のような鉄橋を渡ると、R250の曲線を回りこみながら両側に田んぼや畑が広がる空間に踊り出る。キハ38+37を2組連ねた4連のDCは、うっすらと排気をたなびかせながら、勾配を上っていきます。
(回924D 最後尾ははキハ372 久留里-平山)
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 「4連の返しを久留里城から俯瞰で撮りましょうか」Y君の提案に、もちろん久留里線初心者はイヤも応もない。クルマを走らせ、東側の山の中腹にある久留里城の麓の駐車場へ。ところが道は展望ポイントまで繋がっているんだけど、駐車場から先の坂道の入り口はチェーンが巡らされ、クルマは乗り入れできません。
「高齢の方がご乗車の場合は展望台まで車を乗り入れできます」という案内は出てるんですけどね~。なにしろまだ朝の6時台。チェーンを外す係員も出勤していないらしく、ボヤきつつ急な坂道をえっちらおっちら登っていきます。

 一汗かいて上り詰めた展望台からはこんな風景が…。画面中央あたり、久留里線の線路が横切っている…けど、遠いなぁ…。
04久留里城からの眺め.JPG


 列車を待つ間、そよそよ吹き抜ける朝の風が心地よい。早起きし過ぎで、ついベンチに腰掛けたままうとうとしかけてしまうほど。
 …で、肝心の亀山から上ってくる4連ですが、私の機材&腕ではちょっと荷が重すぎた。なにしろズームを望遠側いっぱいに使って、三脚も使わない横着撮影(持ってないんです…)。
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(924D 久留里-平山)

 924Dと久留里で交換してやってきた木更津始発の下り一番列車921D。通常はキハ37/38の2連のはずですが、今日は亀山側にキハ30を連結しています。
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(921D 久留里-平山)

 この列車にキハ30が運用されているってことは、今日は14時過ぎに木更津に到着する936Dまでは、キハ30が見られる…ってことですね。ヤッタ

 山を降りて、再びクルマを平山駅方向へ走らせる。途中、朝のうちだけ順光になる鉄橋があるというので行ってみると、そこには既に数台の車と、三脚をセットした数人の先客が…。ここは著名な「お立ち台」なのかな。みなさん重装備で、私のようなチャラい軽装の爺さんが混じるのは場違いな感じ。
 ということで、Y君をその場に下ろして(彼は「重装備」)、もう少し平山駅よりに走って行くと、切通しの上に頃合いの跨線橋がかかっている場所を見つけました。久留里城から見下ろした921Dのキハ37+キハ30が亀山から戻ってくるので、それを狙います。
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(926D 久留里-平山 キハ384)

 振り返って後追いでキハ30の顔を。こちら側は逆光ですが、木立が直射光を遮ってくれるのでなんとかなりました。登場当初は気動車のくせにグロベン! と違和感を感じていた屋根上のベンチレータも、今となってはなつかしい。
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(926D 久留里-平山 キハ30100)

 カメラを横位置に持ち変えもう一枚。右カーブの先は緩く左にカーブしつつ「お立ち台」の鉄橋に向かいます。
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 さて、お次は朝一番で撮影したキハ38+38+30の3連で、下りの923Dがやってくるはずですが、さてどう撮ろう…。順光の横位置で…と思いつき、線路から離れてみますが、電柱&ケーブルが気になってしょうがない。立ち位置が決まらないままうろうろするうち、列車が来てしまいました。結局中途半端な後追いで…。
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(923D 久留里-平山 最後尾キハ3098)

 Y君を迎えに「お立ち台」に向かう途中、何台もの他県ナンバーの車と出会う。太陽が南へ回り、光線状態が悪くなって別の撮影場所に移動する撮り鉄さんでしょうか。
 我々も、亀山方向へ車を走らせますが、どうもY君のお眼鏡にかなうポイントが見つからない。松岡駅あたりまで行ってみましたが、結局Y君は平山駅南側の、線路と鉄橋を見下ろせる道路橋(線路の上の部分だけは網目の細かいネットあり)へ。
 私は、難易度が低そうな(笑)駅撮りをすることにして平山駅へ。
11平山駅.JPG

 大きな銀杏の木と、対照的にバス停のようなこじんまりした駅舎の平山駅。隣の多目的トイレのほうが建物としては大きそう。

 片面棒線のホームに立つと、目の前には畑や田圃がひろがり、その向こうには鎮守の森。
12鎮守の森.JPG


 いい雰囲気の景色に見とれるうち、坂を登ってキハ30を先頭にする3連がやってきました。
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 キハ30特有の外吊り式扉が開いて、平山駅では数人が乗車。よく見ると、最後尾のキハ38は、ホームから外れて停車してます。ホームの長さは十分にあり、5連の停止目標もあるんだけど…不思議ですね~。
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 列車の中からは賑やかな子供たちの声が。見れば座席をほぼ埋めるように、小学生の集団が乗っている。走りだした列車の窓から乗り出すようにVサインを送ってくれます。
15小学生たち.JPG


 爺さんも負けずにVサインを返す。窓の開く列車って、いいねぇ…。
 この小学生たちは、遠足か学外授業なのか、後で久留里の街なかで、真剣な顔でノートになにか書きとめながら歩いている姿をみかけました。

 灰色の薄煙を吐き出しながら、加速していく。
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(928D 平山駅 最後尾はキハ381003)

 さて、この928Dは久留里に着いても、交換するのは亀山方面行きではなく、久留里止まりの列車。つまり久留里-亀山間はこの先一時間あまりの間、列車が存在しない空白の時間帯。
 朝から動き詰めで小腹が空いてきた我々も、久留里の街なかにもどり遅めの朝食の調達に…。

 久留里の街は、水の里として知られています。街中のあちこち、幹線道路際、街を出外れた農村部まで、至る所に自噴式の井戸が掘られ、そこから間断なく清冽な水が流れています。水汲み場として一般に開放されている井戸も多く、街歩きをしながらいろんな井戸の水を飲み比べすることができるそうです。
18街中の井戸.JPG


 我々も駅前にある「水汲み広場」で、顔を洗い、喉を潤しひと息。
 そうそう、久留里線の久留里-平山間で何箇所か見つかる、線路を挟むように設置されたコンクリート製のこの不思議な物件も、農業用水を供給するための井戸なんだそうです…。
17線路脇の井戸.JPG


 まだ朝の10時前。折り返しの木更津行きの発車まではまだしばらく間があり、人影が途絶えた駅の構内には、気動車のアイドリング音だけが響き渡る。
19久留里駅.JPG


 片開きの二枚扉がなんとなくキハ25を彷彿とさせるキハ37形。1983年製といいますからまだ製造から30年足らず。ブラックフェイスの前面や、窓枠のユニットサッシが、私には「十分新しい車両」に見えてしまう。
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 後ろの両開き3枚扉のキハ38形はさらに新しい1986~87年製。まぁ台車などはキハ35の流用だったようですが、そのキハ35と同世代のキハ30と一緒に廃車にされるのは、ちょっともったいない気がします。

 さて、リフレッシュして再度線路際へ…なのですが、この頃から気温はぐんぐんと上昇。9月中旬とは思えない太陽の照りつけに、脳天がジリジリと灼かれる(帽子くらいかぶれよ!)
 ただでさえアバウトな、構図決めやシャッターのタイミングが、ますますおろそかになってくるのがわかります。
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(927D久留里-平山 先頭車キハ30100)

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(932D久留里-平山 先頭車キハ384)

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(929D久留里-平山 先頭車キハ381002)

 亀山に向かう929Dを見送る。
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 この次の下りはは再び久留里止まりの931D、今日は亀山寄りがキハ30100なので、亀山折り返し934Dを待たずに、久留里駅より木更津方向で931Dを迎え撃つことにして、またまた移動します。
 山がちだった久留里から亀山方向に較べ、木更津方向はもう平坦区間。その分暑さも一段と厳しく、見通しのいい順光のポイントは、日射を遮る木立一本見当たらない。
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 そんな中やってきた931D。待っている間になにを考えたか、柄にもなくお花を前景においたアングルを選択してしまう私。
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(931D俵田-久留里 先頭車キハ30100)

 まったく暑さにヤラれ、頭の中がお花畑になってしまったようです。よく見ると、花はだいぶしおれているんだけど…。

 柄にもなく、第二弾。
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(934D俵田-久留里 キハ372+キハ381002)

 早朝から飛ばしてきたせいで、爺鉄二人の体内燃料は、既に枯渇気味。ここはとびっきりのリフレッシュ剤「キンキンに冷えたビール」を所望したいところですが…コラコラ、今日は徒歩鉄にあらず。クルマを運転する身では、琥珀色の誘惑はシャットアウト。代わりに水の里・久留里の名水で打った美味しい蕎麦で、昼メシと参りましょう。
(続きます)
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あおたけ

俯瞰アリ、接近アリ、駅撮りアリと、キハ30を撮りまくりですね〜!
非冷房のキハ30は夏場はあまり運用に就かないそうなので、
この日はとてもラッキーだったのかもしれません。(^^)
乗り出した子供たちの溢れんばかりの笑顔がステキです。
窓が開かなければ見られない光景ですよね。

by あおたけ (2012-09-14 19:28) 

maipenrai

あおたけさん
 ありがとうございます。子供の声に反応してシャッターを切ってから、待てよ、こんな絵、非冷房のキハ30でしか撮れないじゃないか…って気づいたのでした。下手くそなスナップですが、この日の一番の収穫だった気がします。それにつけても思い出すのはあおたけさんの動物公園線の狙いすましたようなあの写真…。

tochiさん
ほりけんさん
あるまーきさん
 niceありがとうございます。

by maipenrai (2012-09-14 21:28) 

伊 謄

 昔々久留里城には行きましたが、列車は通らなかったなぁ(笑)。
by 伊 謄 (2012-09-14 23:20) 

maipenrai

シュウチャンさん
フジトモさん
 niceありがとうございます。
by maipenrai (2012-09-15 19:15) 

maipenrai

プントさん
nexus6さん
パルの大冒険さん
 niceありがとうございます。
by maipenrai (2012-09-16 21:36) 

maipenrai

ねじまき鳥さん
@赤坂さん
 niceありがとうございます。
by maipenrai (2012-09-17 09:40) 

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