九鬼谷に行きたかったよ~畑中純さんを悼む [番外]
数日前のことになりますが、たまたま朝刊の訃報欄が目にとまりました。
漫画家の畑中純さんが亡くなったんだ…。
畑中さんといえば「まんだら屋の良太」。
30年以上前、当時勤めていた会社の後輩に教えられ、読んでみたところやみつきになり、気がつけば単行本が52冊(じつは53巻あるらしい)を読破していました。
若いころは、比較的漫画の単行本はよく買っていましたが、その後何度か転居を重ねるうち、自然と「断捨離」されてしまい、今も残って私の本棚の一角を占めているのは「まんだら屋の良太」だけ、となりました。
舞台は北九州、小倉から南に下った山の奥の、架空の「九鬼谷温泉」を舞台に、主人公の高校生たちと、それを取り巻く人々の艶笑譚…と書きましたが、くすぐり程度のお色気、なんてものではなしに、かなりあけっぴろげな性が描かれています。
86年にはNHKの銀河テレビ小説で放映されたこともあります。NHKということで、期待せず…というより、お茶の間で見られるNHKのドラマで、お色気レベルの話しでなく、「性描写」を期待するのは所詮無理な話で、やっぱりダメでしたね。
「性」を通して人間を描く…なんていうとわかったふうですが、ポルノと紙一重の描写…を突き抜けた先の、人情や哀歓、叙情やダイナミズム、涙や笑い、リアリズムやファンタジー、そうしたものがないまぜになって昇華しているのが、この作品の魅力なので、入り口を取っ払っちゃうと、なんだか気の抜けたビールみたいになってしまうのであります。
さて、当ブログはいちおう鉄ブログなので、無理やり「まんだら屋の良太」シリーズの中から、鉄分の濃そうな作品をご紹介したいと思います。。
単行本シリーズの第8巻に「ちんちん電車」という作品が収録されています。
山奥の「九鬼谷温泉」から、主人公の高校生たちは小倉の高校にバスで通っているのですが、おそらくその途中を走っていた路面電車・西鉄北方線、作品では「北九軌道」となっていますが、それの廃止を巡るエピソードです。
北方線は1980年11月に廃止された、とありますから、おそらくそれから間もなく発表された作品でしょう。私自身は75年か76年の夏に、小倉に行ったことがあり、電車も見ています。ただ既に鉄離れしていたのと、目的地が夏の小倉競馬場…(爆)で写真も撮っておりません。なので、畑中さんの作品から、勝手にカットをお借りしてしまうのをお許し下さい。
西鉄の北九州線の中でも、離れ小島のような存在だった北方線、軌間もここだけ1067ミリの狭軌で、小倉モノレールの建設が決まっていたこともあり、他線にさきがけて廃止になってしまったのでした。
西鉄の軌道線らしく、主力は連接車だったようですが、ボギー車も存在していて、物語の中でも、321形322号が影の主役になっています。昭和23年製、なんでも下関の山陽電気軌道の注文流れ品を引き取った車両だそうで(Wikiの受け売り)。
さて、そんな路面電車が廃止が近づいたある日、ちょっとした「事件」が起きて、主人公たちの活躍が始まる……というお話なのですが、詳細は書かないほうがいいでしょうね。
先にも書いたように、性をあけっぴろげに描くのが特徴の「まんだら屋の良太」シリーズ。物語を通底するのは、「ロクでもないが素晴らしき人間と、その性」というわけで、電車は脇役です。でも「鉄道」と「性」が創作作品の中でここまで接近遭遇する、っていうのは後にも先にも、あんまりないんじゃないだろうか。
それにしても、畑中ファンにして鉄好き…の私としては、この一篇は(ベストではないにせよ)400篇を超えるシリーズの中で、忘れ得ない作品です。
亡くなられて初めて知ったことも多い。私よりずっと年長だと思っていたのですが、実は年がひとつしか違わなかった(しかも誕生日が一緒!)ということも、初めて知りました。
ここ最近、といってももう長い間、漫画の創作とは離れていらっしゃったらしい畑中さん。もう新しい作品を読める機会もないのかと思うと、寂しさを禁じえません。
漫画家の畑中純さんが亡くなったんだ…。
畑中さんといえば「まんだら屋の良太」。
30年以上前、当時勤めていた会社の後輩に教えられ、読んでみたところやみつきになり、気がつけば単行本が52冊(じつは53巻あるらしい)を読破していました。
若いころは、比較的漫画の単行本はよく買っていましたが、その後何度か転居を重ねるうち、自然と「断捨離」されてしまい、今も残って私の本棚の一角を占めているのは「まんだら屋の良太」だけ、となりました。
舞台は北九州、小倉から南に下った山の奥の、架空の「九鬼谷温泉」を舞台に、主人公の高校生たちと、それを取り巻く人々の艶笑譚…と書きましたが、くすぐり程度のお色気、なんてものではなしに、かなりあけっぴろげな性が描かれています。
86年にはNHKの銀河テレビ小説で放映されたこともあります。NHKということで、期待せず…というより、お茶の間で見られるNHKのドラマで、お色気レベルの話しでなく、「性描写」を期待するのは所詮無理な話で、やっぱりダメでしたね。
「性」を通して人間を描く…なんていうとわかったふうですが、ポルノと紙一重の描写…を突き抜けた先の、人情や哀歓、叙情やダイナミズム、涙や笑い、リアリズムやファンタジー、そうしたものがないまぜになって昇華しているのが、この作品の魅力なので、入り口を取っ払っちゃうと、なんだか気の抜けたビールみたいになってしまうのであります。
さて、当ブログはいちおう鉄ブログなので、無理やり「まんだら屋の良太」シリーズの中から、鉄分の濃そうな作品をご紹介したいと思います。。
単行本シリーズの第8巻に「ちんちん電車」という作品が収録されています。
山奥の「九鬼谷温泉」から、主人公の高校生たちは小倉の高校にバスで通っているのですが、おそらくその途中を走っていた路面電車・西鉄北方線、作品では「北九軌道」となっていますが、それの廃止を巡るエピソードです。
北方線は1980年11月に廃止された、とありますから、おそらくそれから間もなく発表された作品でしょう。私自身は75年か76年の夏に、小倉に行ったことがあり、電車も見ています。ただ既に鉄離れしていたのと、目的地が夏の小倉競馬場…(爆)で写真も撮っておりません。なので、畑中さんの作品から、勝手にカットをお借りしてしまうのをお許し下さい。
西鉄の北九州線の中でも、離れ小島のような存在だった北方線、軌間もここだけ1067ミリの狭軌で、小倉モノレールの建設が決まっていたこともあり、他線にさきがけて廃止になってしまったのでした。
西鉄の軌道線らしく、主力は連接車だったようですが、ボギー車も存在していて、物語の中でも、321形322号が影の主役になっています。昭和23年製、なんでも下関の山陽電気軌道の注文流れ品を引き取った車両だそうで(Wikiの受け売り)。
さて、そんな路面電車が廃止が近づいたある日、ちょっとした「事件」が起きて、主人公たちの活躍が始まる……というお話なのですが、詳細は書かないほうがいいでしょうね。
先にも書いたように、性をあけっぴろげに描くのが特徴の「まんだら屋の良太」シリーズ。物語を通底するのは、「ロクでもないが素晴らしき人間と、その性」というわけで、電車は脇役です。でも「鉄道」と「性」が創作作品の中でここまで接近遭遇する、っていうのは後にも先にも、あんまりないんじゃないだろうか。
それにしても、畑中ファンにして鉄好き…の私としては、この一篇は(ベストではないにせよ)400篇を超えるシリーズの中で、忘れ得ない作品です。
亡くなられて初めて知ったことも多い。私よりずっと年長だと思っていたのですが、実は年がひとつしか違わなかった(しかも誕生日が一緒!)ということも、初めて知りました。
ここ最近、といってももう長い間、漫画の創作とは離れていらっしゃったらしい畑中さん。もう新しい作品を読める機会もないのかと思うと、寂しさを禁じえません。
xml_xslさん
プントさん
あるまーきさん
niceありがとうございます。
by maipenrai (2012-06-18 12:03)
この作品はドラマでしか知りませんが、銀河の中では一番印象に残っています。
by サットン (2012-06-18 19:15)
サットンさん
ご覧になっていましたか。私もぶつぶつ文句をいいつつ、全話見てしまったように記憶しています。雑誌の連載終了後には映画やOVAにもなっているようですが、こちらは残念ながら見ていないんです。
燕っ子さん
肥後キャサリンさん
niceありがとうございます。
by maipenrai (2012-06-19 09:11)
Cedarさん
あおたけさん
niceありがとうございます。
by maipenrai (2012-06-21 21:44)
畑中純さん ご冥福をお祈りいたします。
by hanamura (2012-06-24 21:48)
私も、全館本棚に揃ってます。
ニ三年に一回、読み直してますよ。
月ちゃん、いいですね~。
by 釣りキチ (2017-02-24 19:47)